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1.はじめに:

 多くの方が「オプション」について一度は聞いたことがあると思いますが、 オプションは何のためにあり、どのように使用するのかについてご存じの方は多くないと思われます。 株式や先物取引は「安く買って、高く売る」ということで利益が得られるのですが、 オプションは少し異なります。もちろん、「安く買って、高く売る」ということもありますが、 これにに加え「リスクを回避する」という側面もあります。 そのためオプションは通常のものよりも複雑な取引手法であり、 リスクが高いため個人投資家レベルではなかなか使えないというのが現状だと思います。
 このオプションとは将来において、日経平均株価指数をあらかじめ定められた価格で 「買う権利」または「売る権利」のことをといいます。 この現代のオプション取引はアメリカでは1970年代から行われ始めました。 特に1973年、 Black and Scholes (1973)Merton (1973) において、オプションの理論的な価格の評価公式(Black-Scholesの公式と呼ばれる)が導かれ、理論的、実務的に発展していきました。後にR.C.MertonとM.S.Scholesはデリバティブの価値を決定する新たな手法を生み出したことにより、1997年Nobel賞を受賞しました。 さらにこれらのメンバーも参加し、ヘッジファンド Long-Term Capital Management, LTCMが設立され、一時代を風靡しました。(1998年ロシア危機をきっかけに破綻)

2.具体的な取引手法:

 上述したようにオプションには次の4つの取引方法を用いて、 通常の利益を得るための売買の他にリスク回避にも使用します。 ただし、コールもプットも買い手は権利を行使するか権利を放棄するかを自由に選択できますが、売り手は買い手の意思に従わなければなりません。

1.コール(買う権利)の買い、 2.コール(買う権利)の売り
3.プット(売る権利)の買い、 4.プット(売る権利)の売り

 このときの利益と損失は次のようにまとめることができます。

損益分岐点 利益 損失
コール 権利行使価格 + 権利の価格 無限 プレミアム
権利行使価格 + 権利の価格 プレミアム 無限
プット 権利行使価格 - 権利の価格 無限 プレミアム
権利行使価格 - 権利の価格 プレミアム 無限


このことを次の節で具体的に取り上げる。

2.1 売買:

 まずは具体例を用いて、コール(買う権利)を考えてみたいと思います。

コール 2008年4月限 権利行使価格 12,000円

 2008年4月11日(SQ日)に日経平均株価指数を12,000円で買う権利の売買です。 仮に、その権利の価格が500円で売買が成立したと仮定すると、買い手は、500円×1,000倍の500,000円を売り手に支払います。
反対に売り手は、500円×1,000倍の500,000円を買い手から受取ります。
その後、SQ日までお互いに途中で反対売買せずに、SQ値が仮に13,000円となった場合は買い手は、12,000円で買う権利を行使することができるので、差額の(13,000円−12,000円)×1,000倍=1,000,000円を売り手から受取ることができます。
反対に売り手は、買い手の権利行使に応じなければならないので、(13,000円−12,000円)×1,000倍=1,000,000円を買い手に支払うことになります。
最終的に、買い手は最初に支払った50万円との差し引きで+50万円の利益。 売り手は最初に50万円受取っているので、差し引き−50万円の損失になります。

この例で、仮にSQ値が12,000円以下となった場合には、買い手は権利を行使しても利益を得ることができないため、権利放棄することになります。その場合、買い手は最初に支払った分の−50万円が損失となり、反対に売り手は最初に受取った+50万円が利益となります。

1.コール(買う権利)の買い
 日経平均株価指数が上昇すると予想した場合の戦略です。 日経平均株価指数が上昇すれば上昇した分だけの利益が発生し、 下落しても当初のプレミアム分(当初支払ったオプションの代金)の損失ですみます。 よってリスク回避として使用できます。

2.コール(買う権利)の売り
 日経平均株価指数が下落すると予想した場合の戦略です。 (1)『コールの買い』とは逆に、「買う権利」を売っているため、当初受取ったオプションの代金が最大の利益になりますが、 見込みが外れて日経平均株価指数が上昇すると、損失は上昇分だけ発生します。

 次には具体例を用いて、プット(売る権利)を考えてみたいと思います。

プット 2008年4月限 権利行使価格 12,000円

 2008年4月11日(SQ日)に日経平均株価指数を12,000円で売る権利の売買です。
仮に、その権利の価格が500円で売買が成立したと仮定すると、買い手は、500円×1,000倍の500,000円を売り手に支払います。
反対に売り手は、500円×1,000倍の500,000円を買い手から受取ります。
その後、SQ日までお互いに途中で反対売買せずに、SQ値が仮に11,000円となった場合は買い手は、12,000円で売る権利を行使することができるので、差額の(12,000円−11,000円)×1,000倍=1,000,000円を売り手から受取ることができます。
反対に売り手は、買い手の権利行使に応じなければならないので、(12,000円−11,000円)×1,000倍=1,000,000円を買い手に支払うことになります。最終的に、買い手は最初に支払った50万円との差し引きで+50万円の利益。売り手は最初に50万円受取っているので、差し引き−50 万円の損失になります。

この例で、仮にSQ値が12,000円以上となった場合には、買い手は権利を行使しても利益を得ることができないため、権利放棄することになります。その場合、買い手は最初に支払った分の−50万円が損失となり、反対に売り手は最初に受取った+50万円が利益となります。

3.プット(売る権利)の買い
 日経平均株価指数が下落すると予想した場合の戦略です。 日経平均株価指数が下落すればするほど利益が大きくなります。 逆に日経平均株価指数が上昇しても、 当初のプレミアム分(当初支払ったオプションの代金)で損失は限定されます。 よってリスク回避として使用できます。

4.プット(売る権利)の売り
 日経平均株価指数が上昇すると予想した場合の戦略です。 「売る権利」を売っているため、見込みが外れて日経平均株価指数が下落すると大きな損失を出すこともあります。 特に、予想が外れて相場が急落した場合は、大損害を被ることになります。

その他にも上の4つを組み合わせることにより、 ストラドルの買い、ストラドルの売りなど様々な投資戦略があります。 詳しくは 楽天証券の日経225オプション投資戦略kabu.com証券の日経225オプション取引 取引戦略ガイド(PDF, 2.33MB) などを参照されたい。

2.2 リスク回避として:
 ここでは現物や先物を保有している場合のリスクを回避する手法を考えます。 オプション取引の取り扱い銘柄は、 日本では大阪証券取引所に上場されている日経225オプションであることから、 現物や日経225先物をリスクを回避することが可能です。

 「先物でLong(買う:値上がりを期待)した場合には、オプションでPut(売る権利)を組み合わせる」

ことにより、リスクをヘッジすることが可能です。 これは一種の両建て(LongとShortのポジションを同時に持つこと)を行っているのと同じです。 そのため仮に期待に反する方向へ株価が動いた場合であっても、オプションでは利益があるため、先物の損失を減らすことが可能となります。もちろん、期待通りの方向へ株価が動いた場合には、オプション分利益が少ないこととなります。
 具体的な例として、ここでは日経225先物9,000円で1,000口(900万円)購入し、 保有しているとする。この先物の株価下落時のリスク回避として、 権利行使価格9,000円の日経225プットオプションを200円で1枚(200円×1,000倍=20万円)で購入しとします。 例えばSQ日までに日経225の株価が8,000円に下落し、SQ値も8,000円となったとします。

日経225先物の損失:(8,000円-9,000円)×1,000口=▲100万円

日経225プットオプションの利益(権利行使): (9,000円-8,000円-200円)×1,000倍=80万円

権利行使日における、日経225先物+日経225プットオプション買いの損益は、 80万円−100万円=20万円の損失となります。

 では逆に、株価が9,200円より上昇すると、 例えば、株価が10,000円に上昇すると、 (10,000円−9,000円)×1,000口−20万円(オプション料)=80万円の利益

となり、プットオプションは権利放棄となります。 ここでは上昇すれば上昇するほど利益となります。

3.Black-Scholesの公式:

 上述のようにオプションは日経225の株価に連結しているため、 これを購入することによって、リスク回避も可能となります。 ではオプションをいくらで購入したら良いのか?ということが次の問題となります。
 このオプション価格は日経225の値が将来どれくらい変動するかで決まってきます。 日経225の値の変動幅が大きいほど、ボラティリティは高くなります。 またボラティリティが高いほど、権利行使の可能性が増えるため、 オプション価格は高くなり、 逆にボラティリティが低いほど、権利行使の可能性が減るため、 オプション価格は低くなります。 そこでボラティリティ(変動率)が決まれば、オプション価格を決定するのが Black-Scholesの公式と呼ばれるものです。 (Black and Scholes (1973)Merton (1973))

3.1 具体例:
 具体的にBlack-Scholesの公式は次のような問題のヨーロピアンオプション価格を評価したものです。 オプションにも様々な種類があるが、満期が決まったものを、ヨーロピアン、 満期までに自由に売買できるものをアメリカン、満期までの株価の平均に依存するオプションをアジアンオプションと呼ばれています。その他にも多数ありますが、個人投資家のレベルで関連があるものは、ヨーロピアンとアメリカンオプションです。

:次のヨーロピアン・コールオプションの価格を求めよ。 現在の株価 S=14500円, 権利行使価格 K=14000円, オプションの期間=2ヵ月, ボラティリティ σ =38%, 非危険利子率 r=6%

【解答】 Black-Scholesの公式:



オプションの期間:



,

また標準正規分布の数表から、

,

以上から、ヨーロピアンコールオプション価格は



よって2ヶ月後の株価 > 15232円ならば、「儲け」, 2ヶ月後の株価 <15232円ならば、「損」と分かる。

3.2 モデル:
 ではこのBlack-Scholesの公式はどのような設定の下で求められたのか重要となる。 ここでは財は、株価などの危険資産と国債などの安全資産があるとする。 ここで危険資産Sは、次のような幾何ブラウン運動していると仮定する。



ただしμは期待収益率、σは株価のボラティリティー、Z(t)=Z(t,ω)はブラウン運動を粟原している。次に上の式を「伊藤の補題」を使用して、式変形しておく。
 ここで危険資産と安全資産のポートフォリオを考える。 さらに無裁定条件を仮定することにより、次のBlack-Scholesの偏微分方程式が導出される。


境界条件

これを式変形することにより、熱方程式が導出され、これを解くと次が導出される。



ここでそれぞれの導関数は次のようになる。 ただしCをコールオプションの価格とする。

株価Sに関する導関数:
株価Sに対する弾力性:
行使価格Kに関する導関数:
利子率rに関する導関数:
時間に関する導関数:
ボラティリティσに関する導関数:
株価Sに関する2階導関数:


4.逆問題 インプライドボラティリティー:

 第3節においては、ボラティリティーが外生変数であり、 これをどう見積もるのかでオプション価格が決まりました。 そこでここでは仮に各投資家が第3節で取り上げたBlack-Scholesの公式を用いて、 売買を行っていると考える。 このように市場を捉えることにより、一種の逆問題として 現在のボラティリティーを推測することができる。 これはインプライドボラティリティー(Implied Volatility:IV) と呼ばれている。 もちろんRSSにも関数として(=RSS|'134028018.OS'!IV)として存在するので、 逐次投資家の将来に対する予想・期待を把握することができる。
 ちなみに大阪大学のCSFIさんはインプライドボラティリティーを独自に作成している。 このように学問的にも重要である。


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リチャード M. ブックステーバー, オプション価格と投資戦略